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住宅の応急修理制度

これまでのコラムでは、地震後のブルーシート養生や、台風前の備えについてご紹介してきました。今回は少し違う角度から、「お金」の話をさせてください。

実は、今回の熊本地震で被害を受けた住宅は、災害救助法に基づく「住宅の応急修理」制度を使うことで、最大75万7,000円の修理費用を自治体に負担してもらえる場合があります。

ただしこの制度、対象になる条件や工事の範囲が細かく決まっており、「先に業者に払ってしまうと使えなくなる」という重要な注意点もあります。

この記事では、熊本で外壁塗装・屋根塗装・防水工事を行っているホーミーズが、制度の内容・対象条件・注意点、そして熊本県内21市町村それぞれの窓口まで分かりやすく整理します。

1. 全体の流れ|まず何をすればいいか

今回の地震に関する住宅への支援制度は複数あり、名前も似ているため混乱しやすいです。まずは全体の流れを図で把握しておきましょう。

被害状況の撮影からり災証明書の申請を経て、緊急の修理、住宅の応急修理、生活再建支援金の3つの制度に分岐する流れを示すフローチャート 被害状況を撮影 り災証明書を申請 支援制度の入口 緊急の修理 熊本市:9/30まで 住宅の応急修理 最大75.7万円 生活再建支援金 最大300万円 本記事は中央の「住宅の応急修理」を中心に解説しています
STEP 01 被害状況を写真に残す
片付けや修理を始める前に、建物全景と被害箇所の写真を残してください。どの制度を申請する場合でも必要になります。
STEP 02 り災証明書を申請する
お住まいの市町村に申請し、被害の程度(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊)の認定を受けます。多くの支援制度の入口になる、最も重要な書類です。詳しくは次の章で説明します。
STEP 03 (該当する場合)「緊急の修理」を利用する
ブルーシート展張など、被害拡大を防ぐための緊急的な処置を対象とした制度です。り災証明書がなくても申込める点が特徴で、熊本市では完了期限が2026年9月30日まで延長されています。詳しくは9章で補足します。
STEP 04 「住宅の応急修理」に申込む(本記事のメイン)
り災証明書の結果をもとに、最大75万7,000円の修理費用支援を申込みます。この記事では、主にこの制度について詳しく解説します。
STEP 05 (該当する場合)被災者生活再建支援金を申請する
中規模半壊以上の被害を受けた世帯を対象に、最大300万円の支援金が別途用意されています。応急修理制度と併用可能です。詳しくは9章で補足します。
「緊急の修理」と「応急修理」は別の制度です。
名前が似ているため混同しやすいですが、対象内容・上限額・申込期限がまったく異なります。この記事で詳しく扱うのは、まだ申込みが可能な「応急修理」(最大75万7,000円)です。

2. り災証明書とは

「り災証明書」とは、住宅の被害の程度(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊)を、市町村が公式に認定する証明書です。

この記事で紹介する「住宅の応急修理」制度をはじめ、「被災者生活再建支援金」など、多くの支援制度で申請の起点となる、非常に重要な書類です。

り災証明書と被災証明書の違い

証明書 内容
り災証明書住まい(建物)の被害程度を認定するもの
被災証明書(罹災届出証明書)塀・カーポート・自動車など、建物以外の被害を証明するもの

申請方法・注意点

  • お住まいの市町村の窓口(福祉担当課等)で申請する
  • 電子申請に対応している市町村もある
  • 被害が軽微な場合、被害写真や修理見積書があれば即日交付される場合もある
  • 被害が大きいほど、現地調査に時間がかかり発行まで数週間〜数ヶ月かかることがある
早めの申請をおすすめします。り災証明書の申請期限は市町村によって定められている場合があります。まだ申請していない場合は、お住まいの市町村窓口へ期限の有無も含めてご確認ください。

3. 「住宅の応急修理」制度とは

今回の地震では、熊本県内21市町村に災害救助法が適用されました。この法律に基づき、被災した住宅を修理する費用の一部を、自治体が負担してくれる制度が「住宅の応急修理」です。

この制度は、被災した住宅を元通りにリフォームするための制度ではなく、日常生活に必要最小限度の部分を修理し、その住宅に引き続き住めるようにすることを目的としています。

制度の仕組み
申込者が修理業者を選び、見積もりを取ります。その内容で自治体が承認すると、自治体が申込者に代わって修理業者と契約し、直接支払いを行います。申込者が一時的にでも費用を立て替える必要はありません。

※本記事は主に熊本市の公式情報をもとに作成していますが、制度の基本的な枠組み(上限額・対象条件・対象範囲)は災害救助法に基づき県内で共通です。手続きの詳細は市町村ごとに異なりますので、10章で紹介する各市町村の窓口でご確認ください。

4. 対象になる世帯の条件

この制度を利用するには、次のすべてに該当する必要があります。

  • り災証明書で「準半壊」以上の被害と認定されていること(一部損壊は対象外)
  • 応急修理をすることで、元の住宅に引き続き住めること
  • 自らの資力では応急修理ができないこと(※大規模半壊以上の場合はこの要件が免除されます)
  • 修理業者へ応急修理の代金をまだ支払っていないこと
借家(賃貸住宅)にお住まいの方へ
借家の場合、原則として所有者が修理を行うため対象外です。ただし、所有者に修理を行うだけの資力がない場合はご相談いただける可能性があります。

5. 費用の上限額

半壊以上(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊)
757,000円/世帯

※同じ住宅に2世帯以上が同居している場合は、1世帯とみなされます。

準半壊
367,000円/世帯

この上限額は、災害救助法に基づく全国共通の基準であり、熊本県内のどの対象市町村でも同じです。上限額を超える部分や、対象とならない工事の費用については、自己資金や火災保険・共済金等での対応が必要です。

6. 対象になる工事・ならない工事

この制度で重要なのが、「対象になる工事」と「ならない工事」がはっきり分かれているという点です。

対象になる工事(熊本市公式資料より)

  • 屋根(瓦ズレの修理を含む)、基礎、柱、梁、外壁の補修
  • 内壁、床の補修(下地からやり替えるものに限る)
  • 建具(ドア・窓・ガラス)の補修
  • 配線、配管の補修
  • 衛生設備(トイレ・浴槽・給湯器)の補修

対象にならない工事

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    外壁タイルや塗装等の「仕上げ材のみ」の工事
    構造部分の補修ではなく、見た目や表面の仕上げだけを直す工事は対象外です。
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    クロスや畳等の仕上げ材のみの工事
    下地からのやり替えを伴わない、表面の張り替えのみは対象外です。
  • !
    物置や車庫等
    居住スペースではないため対象外です。
対象になるか分かりにくい場合
「屋根カバー工法」や「外壁の下地からの張り替え」など、構造に関わる工事は対象になる可能性があります。一方で「既存の壁の上から塗装するだけ」という工事は対象外です。判断が難しい場合は、修理業者や自治体の窓口に個別にご相談ください。

7. 制度を使う際の注意点

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    修理業者に代金を支払ってしまうと対象外になる
    自治体が業者へ直接支払う仕組みのため、必ず申込み・承認を先に行ってください。すでに全額支払い済み・修理完了済みの場合は、この制度を利用できません。
  • !
    り災証明書の結果次第で対象外になることがある
    結果が判明する前に修理に着手することも可能ですが、認定結果が「一部損壊」や「被害なし」だった場合は対象外になります。
  • !
    修理前の被害写真が必須
    どの部位を撮影したか分かるように、部屋ごとにアングルを工夫して撮影しておく必要があります。
  • !
    完了期限がある
    多くの市町村で「2026年10月27日までに完了報告書の提出まで済ませること」が原則とされていますが、自治体によっては2027年1月27日まで延長されています。期限は市町村によって異なり、今後変更される可能性もあるため、必ずお住まいの市町村窓口で最新情報をご確認ください。
災害に便乗した悪質業者にもご注意ください。
「保険や制度を使えば無料で直せる」と断定してくる業者や、契約を急がせる業者には注意が必要です。少しでも不審に感じた場合は、消費者ホットライン「188(いやや)」または警察相談専用ダイヤル「#9110」へご相談ください。詳しくは以前のコラム「外壁塗装の訪問販売、悪徳業者の手口とクーリングオフ」もあわせてご確認ください。
対象になるか分からない方へ

見積書の作成・制度対象かどうかのご相談も承ります

「うちの工事は対象になるのか分からない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
現地を確認し、対象になりそうな工事内容も含めてご説明します。

8. 申込みから完了までの流れ

STEP 01 修理業者へ相談・見積依頼
申込者ご自身が選んだ修理業者に相談し、見積書の作成を依頼します。
STEP 02 自治体へ申込み
申込書、修理見積書、り災証明書の写し、修理前の被害写真を、お住まいの市町村窓口へ提出します。
STEP 03 修理の実施
制度の対象として承認されると、自治体から修理業者へ依頼が行われ、契約手続きが進みます。
STEP 04 完了報告・支払い
修理完了後、業者が完了報告書(修理前・修理中・修理後の写真)を提出し、確認が取れ次第、自治体から業者へ支払われます。

9. あわせて確認したい支援制度

「緊急の修理」(ブルーシート展張等)について

この制度とは別に、被害拡大を防ぐための緊急的な処置を対象とした「緊急の修理」という制度もあります。屋根や外壁へのブルーシート展張、簡易補修などが対象です。

「応急修理」との主な違い
  • 上限額は1世帯あたり56,400円(税込)
  • り災証明書の提出が不要(応急修理は必要)
  • 上限額を超える部分は自己負担になる
完了期限は2026年9月30日まで延長されています。
当初は「発災日から10日以内」という非常に短い期限でしたが、国(内閣府)との特別協議により延長されました(2026年8月9日発表)。まだブルーシート等の応急処置が済んでいない場合は、お住まいの市町村窓口へお早めにご相談ください。

※完了期限は今後さらに変更される可能性があります。また受付状況は市町村によって異なる場合がありますので、必ずお住まいの市町村窓口で最新情報をご確認ください。

被災者生活再建支援金

中規模半壊以上の被害を受けた世帯を対象に、生活の再建を支援する「被災者生活再建支援金」という制度もあります。

  • 対象:中規模半壊以上の被害を受けた世帯(熊本県内全域で適用)
  • 金額:最大300万円(被害の程度や住宅の再建方法によって金額が変わります)
  • 「住宅の応急修理」制度と併用が可能

この支援金は、応急修理制度とは異なる窓口(健康福祉政策課など)で扱われることが多いため、お住まいの市町村窓口で、応急修理とあわせて確認することをおすすめします。

参考:熊本県・熊本市が公表している支援制度の詳細は、いずれも今後変更される可能性があります。最新情報は、次章でご案内する各市町村の公式サイトでご確認ください。

10. お住まいの市町村別|窓口一覧(21市町村)

今回の地震で災害救助法が適用された、熊本県内21市町村の公式サイトをまとめました。お住まいの市町村をタップすると、該当箇所までジャンプします。

※10市町村(熊本市・八代市・宇土市・上天草市・宇城市・合志市・美里町・益城町・西原村・天草市)は応急修理制度の案内ページに、それ以外の市町村は公式サイトのトップページにリンクしています。受付開始状況・申込窓口・完了期限は市町村により異なり、随時更新されています。トップページの場合は「応急修理」「り災証明書」等のキーワードでサイト内検索するか、代表電話でお問い合わせください。

参考:熊本県「令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について」(pref.kumamoto.jp)、熊本市「災害救助法『被災した住宅の応急修理』制度の案内」(city.kumamoto.jp

11. ホーミーズができること

ホーミーズは熊本で、外壁塗装・屋根塗装・防水工事を行っている外装工事の専門店です。屋根カバー工法・外壁の張り替え・棟板金の交換・谷樋の修理・雨樋の修理・シーリングの打ち替え・外壁塗装・屋根塗装・防水工事まで、幅広く対応しています。

専門店からお伝えしたいこと
この制度が対象とするのは、あくまで構造に関わる部分の修理です。「うちの工事は対象になるのか」を正確に判断するには、被害箇所を実際に確認する必要があります。

見積書の作成や、制度の対象になりそうな工事内容のご説明も含めて、まずはお気軽にご相談ください。
応急修理で終わらせず、そのあとの本格的な修理まで、一貫してご相談いただけます。

12. よくある質問

Q. 応急修理制度はいくらまで支援を受けられますか?
半壊以上(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊)の場合は1世帯あたり75万7,000円以内、準半壊の場合は36万7,000円以内です。この金額は熊本県内の対象市町村で共通の基準です。
Q. 外壁塗装や屋根塗装だけでも対象になりますか?
外壁タイルや塗装など「仕上げ材のみ」の工事は、この制度の対象外です。対象になるのは、屋根・基礎・柱・梁・外壁など建物の構造に関わる部分の補修です。たとえば屋根カバー工法や、下地からやり直す外壁の張り替えなどは対象になる可能性がありますが、既存の仕上げの上に塗装するだけの工事は対象外となります。
Q. すでに修理業者に代金を支払ってしまいました。制度は使えますか?
修理業者へ代金をすでに支払っている場合、この制度の対象外となります。この制度は自治体が申込者に代わって業者と契約・支払いを行う仕組みのため、必ず修理費用を支払う前に自治体への申込みを済ませてください。
Q. 申込みの期限はいつまでですか?
熊本市では原則として2026年10月27日までに完了(完了報告書の提出まで)とされていますが、自治体によっては2027年1月27日まで延長されています。期限は市町村によって異なり、今後変更される可能性もあるため、必ずお住まいの市町村窓口で最新情報をご確認ください。
Q. り災証明書とは何ですか?どこで取得できますか?
り災証明書とは、住宅の被害の程度(全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊・一部損壊)を市町村が公式に認定する証明書です。応急修理制度をはじめ、多くの支援制度で申請の起点になります。お住まいの市町村の窓口(福祉担当課等)で申請でき、電子申請に対応している市町村もあります。申請期限は市町村によって異なりますので、早めの申請をおすすめします。
Q. 「緊急の修理」と「応急修理」はどう違いますか?
「緊急の修理」は、ブルーシート展張など被害拡大を防ぐための応急的な処置を対象とした制度で、り災証明書の提出が不要な点が特徴です。上限額は1世帯56,400円で、熊本市では当初「発災日から10日以内」という短い期限でしたが、国との協議により2026年9月30日まで完了期限が延長されています。一方「応急修理」は、屋根や外壁など構造部分の本格的な修理を対象とした制度で、上限額は最大75万7,000円、り災証明書が必要です。名前が似ていますが別の制度ですのでご注意ください。締切は変更される場合があるため、必ず最新情報を確認してください。
Q. 被災者生活再建支援金とはどんな制度ですか?
中規模半壊以上の被害を受けた世帯を対象に、最大300万円の支援金を受け取れる制度です。金額は被害の程度や住宅の再建方法によって変わります。住宅の応急修理制度とは異なる窓口で扱われることが多いため、あわせてお住まいの市町村窓口でご確認ください。
Q. 熊本市以外に住んでいても対象になりますか?
はい。今回の地震では熊本県内21市町村に災害救助法が適用されており、いずれの地域でも同様の応急修理制度が実施されています。ただし申込窓口や受付状況は市町村ごとに異なりますので、お住まいの市町村の公式サイトでご確認ください。
Q. 賃貸住宅に住んでいますが制度を利用できますか?
賃貸住宅の場合、原則として所有者が修理を行うため対象外とされています。ただし、所有者に修理を行うだけの資力がない場合は利用できる可能性がありますので、お住まいの市町村窓口にご相談ください。

13. まとめ|まずは制度の対象になるか確認を

「住宅の応急修理」制度は、最大75万7,000円という決して小さくない支援を受けられる可能性がある制度です。一方で、対象条件や対象工事、支払いのタイミングなど、知らないと損をしてしまうポイントも多くあります。

制度を利用するうえで大切なポイント
  • り災証明書の被害区分(準半壊以上)を確認する
  • 修理業者に代金を支払う前に、必ず自治体へ申込む
  • 仕上げ材のみの工事は対象外、構造部分の補修が対象
  • 修理前の被害写真を必ず残しておく
  • 完了期限は市町村ごとに異なるため、必ず窓口で確認する

ホーミーズでは、この制度の対象になりそうな工事内容のご相談、見積書の作成まで対応しております。

「対象になるか分からない」という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

藤本将也の顔写真

監修者:藤本 将也(ふじもと しょうや)

ホーミーズ株式会社 代表。
熊本を拠点に、外壁・屋根塗装、工場・アパート塗装、住宅リフォームなど幅広く対応。
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